Saturday, May 23, 2020

続き

「挙動不審」のお客さんが、やっと出て行ってくれたと安心した翌日の事です。明日から休業という事で社員のミーティングとミニお別れ会が予定されていた。そんな中、同僚の一人が電話で何やら長々と応対している。傍を通った時にチラッと耳に入ったのが、どうもクレーム対応らしく、同じ事を繰り返し説明していた。経理担当も兼ねるその同僚は、オーナー達に送らねばならぬ緊急のレポート作成中でもあったため、途中大声で私の名前を呼び、代わって頂戴!と言う。

電話に出てみると、何と例の厄介な人物であった。本人に頼まれて、行き先のホテルに送ってあげた荷物に、何故チェックインの日付を入れたのかという抗議であった。通常お客さん宛ての荷物やら郵便等が届いた時に、チェックインの日付が分かればすぐに探して受け取りのサインをする事ができる。普通にやっている事である。もし、宿泊中かチェックイン予定の中に名前が見つからない、または既にチェックアウト済みであれば受け取りを拒否する。そんな単純な事がどうにも受け入れ難いらしく、説明しても聞く耳を持たず、怒りの口調である。

彼女がうちのホテルにチェックインした翌日に、直前に宿泊していたホテルからと思われる衣類の荷物が送られて来たり、ネットで買った商品を数度受け取ってあげたりしていた。そして、本人の実家だと思われる住所に荷物を送った際に、送り元であるうちのホテルの名前と担当者名を入れた事に何故そうしたのだとしつっこく聞かれた。それを聞く事の方がおかしいでしょう。

自分の居場所を誰にも知らせたくないから、そういった情報から居場所が知れはしないかという怖れからの言動であるようだ。そのくせ3日に一度くらい母親から電話があるという。呆れてしまったのが、自分の郵便物を何とうちのホテルに住所変更して転送までしてきている事だった。流石にこれにはちょっと背筋が寒くなった。

さて、電話口での攻撃が常軌を逸していたため、いい加減こちらも頭に来た。チェックアウトを終えてタクシーで走り去る間際に、殊勝にも小声で「ありがとうございました」と言ったから、色々あったにも関わらず、多少の同情心さえ覚えた自分であった。しかし、ここまで言われたら、もうお客さんでも無いし、2度と来て欲しく無いと思ったので、喋り続けている彼女に「では、失礼します!」と言って電話を叩っ斬った。本当、もう貴方はブラックリスト入りで出入り禁止!!1ヶ月の滞在中の摩訶不思議な言動は、一冊の本に出来そうなくらいです。

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